開発者の想い | 車椅子の製作・木の車椅子なら旅する木

MY THOUGHT

開発者の想い

『木は生きている』

山に立っている木が生きているのは当たり前に感じられます。
でも、100年前の古民家を解体した時の、煤(すす)で黒ずんだ柱の表面をカンナで削ると、プーンと木の香りがするのです。
そして、その柱でテーブルを作ると、ちゃんと反ったり、収縮したりします。
ああ、切り倒されて100年経っても、呼吸しているんだな。生きているんだな。と感動します。

科学的にはいろいろ難しい定義があるようですが、簡単にいうと、生命活動があるもののことを有機質と言います。私たち人間ももちろん、有機質です。
有機質のものには魂が宿っています。
魂が宿っているということは、“想い”とか、“気持ち”があるんだと思います。

木は山に立っている時、その場所から動かない。動けない。
切り倒されて、家になったり、家具になっても、やっぱり動けない。

僕は考えます。
木の中にも、走り回りたい木はいるんじゃないだろうか?
いろんな美しい風景を見てみたい。街中でショッピングを楽しみたい。と願う木もいるんじゃないか?
なんてことを。

『命を持った素材で
作る車椅子』

家具工房旅する木では、全てオーダーメイドで、使う方にピッタリの、そして驚くほど美しい車椅子を、命を持った“木”という素材で作っています。
これはもはや介護用具という範疇ではなく、ペットのような、相棒のような、恋人のような、誇り高きパートナーのような、そんな生きた道具です。

ご主人の足となって、ご主人が行きたいところに行く。
これはもしかしたら、ずっと動けなかった木にとっても、何よりもの喜びなのかも知れない。
ご主人が颯爽と走りたい時、共に風を感じて、喜んでいるかも知れない。
相棒が落ち込んでいる時、「どこか行こう!気分が変わるかもよ。」なんて励ましてくれるかも知れない。
日々の暮らしの中で、一歩踏み出す勇気が出ない時、そっと背中を押してくれるかも知れない。

木という素材で、丁寧に美しく仕上げられた車椅子は、ただの道具ではなく、使う人の心に寄り添って、
気持ちを前に、気分を上に運んでくれるものだと思って、僕たちも魂を込めて、作っています。

『美しい木の車椅子』
それは身体だけでなく、心も乗せて進みます。