ご利用を検討されている方へ | 車椅子の製作・木の車椅子なら旅する木

FOR YOUR CONSIDERATION

ご利用をご検討されている方へ

『価値/対価について』

映像でご覧になっても伝わると思いますが、これだけの技術と手間をかけて作られる木の車椅子。
何年も、何台もの試作を積み重ねている間、ずっと頭の片隅にあったのが、販売価格です。
原価を積み上げて価格を算出すると、120万円くらいになります。
一台一台、オーダーなので、作り置きも、量産もできません。
実際に2022年まではそれくらいの価格でお客様にお届けしていました。

でも、僕たちが目指しているもの。
それは、街中を歩いていたら、このような木の車椅子を普通に見られる世の中にしたい。
そんな世の中は、なんて心が豊かなんだろう。
そんな心の豊かな世界を作る一端を担いたい。
僕たちはそんなことを願いながら、美しい木の車椅子を世の中に届けたいのです。

なので、ごく一部のお金持ちの方だけに、この、木の車椅子を使ってもらいたいわけではないのです。

こんな車椅子に乗って、もっともっと自分らしく生きたい!と願う人や、ご家族の精一杯が、この木の車椅子の“価値”なんだろうと思います。

そこで、この木の車椅子の価格を、
『ご本人が世帯主の場合はご本人の、また、ご本人が世帯主でない場合、世帯主の、月収の3ヶ月分』
という設定にしました。

ところがこの設定をして公表した時、ある方に言われました。

「自分は世間的には高額所得者だと言われると思います。自分は努力をして、ここまでやってきて、今の所得を得ている。そして、私は税金という形で社会に貢献している。それなのに同じものを購入するのに、価格が異なるのは納得できない。」と。

努力をしてきたから高額な所得を得ていて、努力をしてこなかったから所得が低いということが、この世界の真実かどうかは僕にはわかりません。
ただ、高額所得者が納税と言う形で社会に貢献して、僕らの日々の暮らしが成り立っていることは間違い無いと思います。

ここでも悩みに悩んだのですが、上限を設けようと思います。

木の車椅子の価格をこのように設定しました。

① ご本人が世帯主の場合は、ご本人の、また、ご本人が世帯主では無い場合、世帯主の月収の3ヶ月分。
ただし、上限は200万円。

② 原価を積み上げて算出した場合の価格は120万円なので、収入に関係なく、120万円(税別)

①または②のどちらかを選んでもらう。

追加の機能的なオプションや特別な構造の車椅子の製作の場合は、別途要相談。

この設定により、採算が合う場合も、もちろん、合わない場合も発生します。
120万円以上支払うことを選択してくださった場合、余剰金が発生します。その余剰金を、収入は高く無いけど、
この車椅子で自分らしく生きたい。と願う方の分に充てさせていただく。
ということで、お金を循環させていきたいと思います。

この価格設定のことを、ずっと試作を続けながら考えて来ました。こんなこと本当にできるんだろうか?
いろんな経営者の方に相談したのですが、皆さん、口を揃えて
「気持ちは解る。でも、世の中善人ばかりではない。むしろ…。こちらの善意を逆手にとって、誤魔化そうとする人もいるだろう。そっちの方が…。
そうすると、善意が疲弊して、心が憔悴してしまうのではないか?やめたほうがいい。」と

でも、僕たちは信じたいのです。
この価値設定を多くの方に理解してもらえて、高所得者は自分のお金が、本来は買えない方(失礼な表現で申し訳ありません)の喜びになっていることに喜んでもらえ、所得が高くない方からは感謝の気持ちで使ってもらえ、多くの方にこの車椅子を使ってもらうことで、
僕たちも豊になり、また、東京パラリンピックで、障害を持った方々の必死に前を向く姿に、多くの方が勇気と希望をもらったように、
この車椅子に乗って心豊かに、活き活きと生きる姿に、周りの人たちも、自分らしく生きる一歩を踏み出す勇気と希望をもらい、
豊かで幸せの輪が世界に広がっていく。

そんな世界を。